審査請求申立の趣旨
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Updated on 2009/10/3
文京区の弁明
(5) 本案の弁明について:棄却を認める理由(つづき)
請求人らは、本計画に関して、事業主は工事施工者との正式な契約に至っておらず、誰が開発工事を実施するか明確でないまま開発を許可したのは違法行為であり、法第33条第1項第13号に違反する旨主張する。
法第33条第1項第13号は、工事施工者の能力に関する規定であり、開発行為に係る工事の難易を考慮し、過去の工事実績等を勘案して判断するものである。本号の規定は、不適格な工事施工者を除外しようとする趣旨である。この趣旨をふまえて、区審査基準及び文京区開発許可の手引に基づき、建設業の許可証明書、工事経歴書(過去2年間)、登記簿謄本を審査しており、本号の規定に適合すると認められる。したがって、契約書まで求められておらず、請求人らの主張は失当である。
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請求人らは、事業者は、説明会の実施要求に応えず、近隣住民の大多数と工事協定書の締結に至らず、安全な工事方法についても、住民の承諾を得ていない状態で開発工事を許可するのは法律違反であり、法第33条第1項第14号に違反する旨主張する。
法第33条第1項第14号は、開発区域内の関係権利者の同意に関する規定である。近隣住民は、同号の権利を有する者ではなく、説明会の実施や工事協定書の締結等は、本件処分と直接関係がない。
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請求人らは、地元の関口台町小学校や地域の保育園等の関係行政機関との同意を得ておらず、法第32条に違反する旨主張する。
本件開発許可においては、道路管理者、公園管理者、下水道局、小石川消防署、水道局、大塚警察署と協議及び同意を得たことを確認した上で、許可処分を行なっており適法である。なお、請求者らが主張する義務教育施設の設置義務者との協議が必要となるのは、法施行令第23条に定めるとおり開発区域の面積が20ヘクタール以上の場合である。本件開発許可の開発区域面積は7,765.39平方メートルであり、義務教育施設の設置者との協議は必要ない。保育園については、法32条の同意を必要とする公共施設ではなく、同意は必要ない。
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請求人らは法36条、 37条に違反していると主張する。
法36条は工事完了の検査について定めたもので、本件開発許可に係る工事は完了していないので、当然に、同条第1項による届出はなされておらず、検査も行なわれていない。したがって、法36条に違反していない。
また、法37条は開発許可を受けた開発区域内の土地において、法36条第3項に定める公告がなされるまでの間の建築制限を定めたものであり、ただし書きにより知事(東京都特別区にあっては区長)が支障がないと静めた場合に公告前の建築が認められている。本件開発許可に関する工事では、計画建物の地下ピット部分に雨水貯留槽が計画されており、区審査基準に定める法37条の認定基準中「雨水処理施設等を建築工事の中で築造しないと支障をきたす場合」にあたるため、法第37条制限解除を交付した。本件開発では、擁壁整備に併せて建築工事を進め、その後、建物周囲の敷地内の外構や緑化の工事を行なうため、請求人らが危慎するように建築工事が行なわれる事により敷地の環境整備が不可能となることはなく、法37条に違反していない。
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請求人らは、本件は、 一団地の住宅施設の都市計画決定を行なっておらず、一敷地一建築物の適用を排除できない。したがって、基準法第3章の規定に違反する旨主張する。
本件については、前記で述べたとおり、法33条第1項第1号の規定は、申請に係る開発区域内の土地について、用途地域が定められている場合には、予定建築物等の用途が当該用途地域等に適合していることを求めているにとどまるのであり、同項及びその関連規定の中に、それ以上、本号の規定が請求人らが主張するような一敷地一建築物を前提とすると解するべき根拠を見出すことはできない。したがって、その余の一団地の住宅施設、基準法第86条、及び第91条は、本件処分と直接関係がない。
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